絢香の歌声に、感動より悔しさを覚えた
ファンの人たちが音楽ライブに行く理由は、必ずしも歌のうまさだけではないと思うんです。
将来、武道館を埋める祥子ちゃんのファンは、何を求めてきていると思いますか?
突き抜ける声、かな。
ストーリーが伝わるように歌っているので、聴いている人にも伝わっていると嬉しいな。
私の声を聞いて、何か心に刺さるものがあるんじゃないかなと思ってます。
祥子ちゃんは誰かの心を動かすものを作りたい、と思って曲作りをしたり歌ったりしていると思うんですが、逆に祥子ちゃん自身の人生を振り返ったときに心動かされた印象深い瞬間があれば教えてください。
私が高校生のとき、歌手の絢香が音楽番組で歌っているのを観た瞬間のことを今でも覚えています。
私と同年代の絢香が私の憧れの会場で歌っていて、しかもすごい歌唱力があることに衝撃を受けたんです。
私がそこに立ちたいのに、そこに立っているのが絢香で悔しかった。それで「絶対私もそこに行く!」って思って。
絢香の歌に悔しさを覚えるとは・・・。
でも、テレビの向こう側とこちら側には確かに大きな違いがありますもんね。
そうなんです。上京しようと決めたきっかけの一つはその映像だったのかもしれません。
いつも頭の中には「風景」がある
「山田祥子」を音楽以外のキーワードで表現すると、どんな言葉を思い浮かべますか?
「映画」ですかね。音楽と同じくらい映画が好きで、幼稚園ぐらいから洋画を観ていました。
ヒューマン系、SF系、ホラー・サスペンス、アクション・・・なんでも観ます。 その中でも、ちょっと夢見がちで非現実的な作品が好きですね。
歌ってるときも映画を歌ってる感覚があるんです。曲ごとに違う映像が頭に流れてるんですよ。
祥子ちゃんって、絵から入るんですね。
先ほど目標についてお話された時も「ずっと思い描いている風景」って表現をしていたし。
同じ風景を相手に見せるのが、祥子ちゃんは得意なんだと思います。
確かにそうかも。私の歌を聴いたときに、映画を見たような気分になってくれたら嬉しいなあ。
今お話ししていて、そんな力が祥子ちゃんにあると感じました。
他に「山田祥子」を表すキーワードってありますか?
あとは「人」ですね。
人と関わって、その人がどんな人なのか知るのも好きだし、いろんなタイプの人がいること自体も面白いと思えるんです。
苦手な人があまりいなくて、どんな人とでも付き合っていけるし順応できる。
あとはもう超ド級の「優柔不断」です。
楽曲とか作るときは感覚的に作ってるし、感覚的にライブをしてるけど。 音楽以外の場面では全てオフになってアーティスト感ゼロで、超人間人間してる感じ。
普段は人が変わったように何もできないんですよね。コンビニ入って何か買おうと思っても15分くらい悩んだり。音楽以外のこととなると、パッと判断できないんです。
逆に言うと、音楽はスパッと決められるんですね。
スパッと決められるというよりは、感覚でやっているので決めている感覚すらないかも。
普段は優柔不断さから来る自信のなさがある一方、ステージに立つとみんなと一緒に感動の空間を共有したいという欲が出てくるんです。
普段はすごいネガティブだけど、それでも音楽をやめる選択肢は絶対に出てこない。
そういう人間味・矛盾にあふれた、泥の道を歩いてるような人間なんですよね。
人間味があるからこそ、いろんな人と繋がってこれたんじゃないでしょうか。
周りの環境についていえば、私はすごいついてたなって思います。
シンガーソングライターって1人で歌ってるけど1人じゃない。
幼稚園の時、先生が用意してくれたステージで友達が私の歌を聴いてくれたし、学校でも非常階段をステージにしたら友達が聴きに来てくれた。
仙台にいる時も、いろんなステージを用意してくれた人たちがいました。
祥子ちゃんは、自分がいる場所をステージにしてきたんですね。「私が歌ったら、そこがステージ」って。
もちろんそこには、いろんな方のサポートがあったと思いますが。
なるほど。 そう言われてみればそんな感覚が昔からあったかもしれません。
小さい時から場所構わず歌ってましたね。 ブランコこぎながら、1人で「エンダーーーーーー!!」って歌ったりとか。 笑
すごい想像できます。笑
最後に・・・祥子ちゃんの職業は「シンガーソングライター」ですが、仕事は何ですか?って聞かれたら何て答えますか?
「歌うこと」ですね。
そこがブランコの上だろうが、幼稚園だろうが、私が歌えばそれがエンターテイメント。それが私の作品なんです。
うん。祥子ちゃんにはずっと歌っていてほしいです。
今日はありがとうございました。
初対面だから最初は「祥子さん」と呼んでいたのに、気づいたら「祥子ちゃん」と呼んでいた。そんな人懐っこさが魅力の彼女だからこそ、彼女がいる場所がステージになってきたのだろう。
そしてそれは彼女が「歌い続けてきた」から。
疑いなく何かを続けることの強さと、その中にあふれる人間臭さに触れられたインタビューだった。
山田祥子(やまだ・しょうこ)
宮城県仙台市出身。
2010年NHKのど自慢宮城県大会チャンピオン。
宮城三女OG合唱団の一員として仙台フィルロシア公演に参加。
声楽アンサンブルコンテスト全国大会本選出場。
2014年、サウンドクリエイター長登隆宗のプロデュースで本格的に歌手活動を開始。
仙台七夕まつり織姫プロジェクト公式ソング「約束」を歌う。
Datefm「琉球の風」初代パーソナリティー。
アートを通じた福祉活動に参加し、障がいを持つ 方の支援を行いながら、まちづくりイベントや仮設住宅への慰問活動、小学校への講演なども精力的に行う。
仙台で開かれた国連防災世界会議では、太白区の代表として、歌を通しての復興活動を発表。
2016年、仙台のライブハウスdarwinで行われた、CD先行発売を兼ねる記念ライブを実施。
楽天イーグルスvs西武ライオンズの試合にて国歌斉唱。
仙台PARK SQUAREにて初の弾き語りワンマンライブを行う。
東京へ拠点を移し、関東、東北、宮城を中心に、音楽活動のフィールドを広げる。