Guest:小林真さん / Text:中﨑史菜

自分が関わったものが話題になる世界を目指す

2017年、共演アーティストがメジャーデビューを果たした

YouTubeに舞台を移してからの活動は、これまでずっと安定してきましたか?

そうですね。綱渡りな面もありましたが、今のところ思い描いていたところにいるっていう感覚はありますね。

YouTubeへの転向自体は、当時あまり周りから理解されない変化だったんですが、一応僕の中では「これがこうならこうなる」っていう論理があった上でやったことでした。

もし失敗したら、次は別のことを試してみようっていう軽い気持ちで。でも選択するというよりは、行き当たりばったりのイメージかな。

シンガーソングライターとしてのライブを止めよう、じゃあ他に何がある?と思ってYouTubeに行き着いた感じです。

YouTube転向当時の目的は「結婚」だったとのことですが、今、その目的は達成されたわけですよね。
では現在、コバソロさんは何に向かって活動されているんでしょうか。

仕事の中で大きな目標としてあるのは「自分が関わったものが動き出したときに、勝手に話題になって周りも動く」っていう状況です。

例にあげるのが恐れ多いんですけど、例えば宮崎駿さんが作品作りに動き出すと周りが騒いで話題になりますよね。すごい憧れてしまいます。もちろん好きなことってだけじゃなくてジレンマやバランスを取らなきゃいけない状況や演出はあると思うんですけど。多分僕は一人での活動が長かったのでそういうことに飢えているんだと思うんです。

なるほど。必ずしも「音楽」でなくてもよい、ということでしょうか。

そうですね。自分のやる事が最終的に何なのかはまだ見えていないんですけど。

もしかしたら、それがモノづくりじゃなくて何か企画する人かもしれないし、会社を立ち上げる人になるかもしれないですし。

「話題になること」が原動力なんですね。

話題になることも大事なんですけどそれ自体は評価のパラメーターの1つだと思います。ただ自己分析してみると承認欲求はなかなか強い方です。

それがいいか悪いかは置いておいて、今のところ承認されることが原動力になるなら、自分の場合それはそれで別にいいのかなと考えてます。

いわゆる宮崎駿然り、秋元康然り、ホリエモン然り、でしょうか。

確かに、その方たちは何かするたびに話題になりますよね。同じように承認欲求が強いかはわからないですけど。

価値観に正当なものなんて存在しないと思うので、別に僕に賛成してほしいわけではないんですが、エンタメに関わっている以上、賛成反対どっちでもいいので、僕が動くことで沢山の人が動く状態は作りたい。

僕の価値観を中心にできた世界がどこかで築けると楽しいかなって。ふんわりした話で申し訳ないですけど。

こないだ、とある経営者の方が「僕は”雲の上の存在的な人”にずっと嫉妬している」と話していました。世界のルールを作るような、魅力的なものを提示できる層っていうのは本当に限られていて、その限られた人が描いた風景を実現するために専門性を持って動いていく人がいる。
でも、その経営者はどちらの才能もないので、雲の上の存在が描く世界をわかりやすく表現することに徹しているんだ、と。
コバソロさんは、その「雲の上の存在的な人」になりうるんじゃないかと今感じました。

いやいや、僕がそんな大それた人なわけがないです(笑)

才能に対する嫉妬、羨望は僕もよく感じますもん。特に最近は若い方とかすごい方がポンポン出てきてて大変です。

コバソロさんも、そんな風に才能に嫉妬することがあるんですね。

息子のために、できる限りのことはしたい

コバソロさん自身は、子供の頃からいろんな場所を点々とされていたと聞いています。その土地ごとへの想いってありますか?

はい、子供時代はいろんな所へ行きました。それぞれの土地に対する想いは、超薄いです。

だから住む場所に対するこだわりは全然ないですし、旅行にも興味がないので、そういう部分に関してだいぶつまんない男だと思います(笑)

今、東京に住んでいる理由は何ですか?

仕事がしやすいからという理由だけですね。一緒に仕事する方も東京が多いですし。仕事がしやすいのであればどこでもいいです。

なるほどなあ。私は一つのところに止まっておられず、結局今3拠点生活というところに落ち着いているんです。東京ではシェアハウスしてます。

シェアハウス!すげえ。僕は人見知りなのでシェアハウスに入った瞬間に出たくなると思う(笑)

でも、そんな住むところにこだわりのない僕も、息子の教育について考えるようになり、今は引越しまで検討しています。

YouTubeでも息子さんの誕生を報告

コバソロさんが、お子さんの教育のために引越しまで考えている!お子さんの存在って、そんなに大きいんですね。

自分の子供が生まれる前から、もともと子供好きですし、子供は世界の宝だと思っていました。でも、息子は特別。もう可愛くてしょうがない。やることなすことかわいい。

しかも、親が言うのあれなんですがめちゃくちゃできる子なので、できるだけのことをやってあげたいなって思っちゃいますよね。なるべく提供できることはしたいです。

もし喘息だったら、空気の美味しいところへ引越しますし。

子供第一ですね。

はい。子供が生まれたことは、第2の初恋という感覚に近いかもしれないです。

妻と息子という恋人がいるような。2人分の大恋愛しているっていう感覚です。

それは最高だ…。
息子さんに、どんな風に生きていってほしいですか?

そうですねー、好きなことをして楽しく生きていってほしいです。そして、なるべくそれができる環境を作ってあげたいです。

エンタメとは「自分がいいと思うもの」を持ち寄ること

最後に一つ、質問させてください。コバソロさん、いや、小林真さんのお仕事は何ですか?

難しいですね。最近色々やりすぎていて。

うーん、関わった人にポジティブな影響を加えるのが、僕の仕事…?

なんかそりゃそうだろって感じですね。

ポジティブにはどんな意味が込められていますか?

例えば僕がやっていることって、「これ、いいでしょ?」を持ち寄ることだと思うんです。エンターテインメントってある一面で見るとそういうことなんじゃないかなと。

僕のYouTubeの場合は、コラボしたアーティストにファンが増えたり、メジャーデビューしたりするのは、結局僕がいいと思ったものを、見てくれた人が同じようにいいと思ってくれたからだと思うんです。

ポジティブっていうのはアーティスト側にとっても視聴者側にとっても、新しい発見や楽しみだったり、ファンを増やしたいという気持ちだったり、互いが今欲している影響を僕と関わることで得られるっていうことですね。

コバソロさんがコラボされてるアーティストさんは、コバソロさん自身が直感的にいいなと思う人たちってことですね。

頼まれたりすることもあるので全て直感的にとかってわけじゃないんですけど、提案いただいたアーティストさんを「こういう風にしたらいい感じじゃない?」って再提案するようにみんなに見せるときもあれば、SNSで見つけた方を「この人いいでしょ」って見せるときもあります。

磨き方を変えるパターンと、誰にも知られてないものを多くの人に見せるパターンがあるんですね。
今日は小学4年のときの何気ない友人の一言から、これからの展望までいろいろと聞かせてくださりありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました!


232万人以上のファンを相手に、クオリティの高い動画を届け続けているコバソロさん。

才能と運で成功したかのように見えるコバソロさんだが、その裏には緻密な段取りと、未来を見通す力と家族への愛情があった。

今後はコラボ動画でなくとも、コバソロさんが「いいな」と思ったアーティストの音楽をコバソロチャンネルで配信していくらしい。
埋もれてしまいそうな才能の種が、コバソロさんの手によって花ひらくのが楽しみだ。

小林真(こばやしまこと)/KOBASOLO(コバソロ)
大阪府出身。
プロデューサー、シンガーソングライター、映像クリエーターとフリーランスながら多岐にわたり活躍中。
作詞作曲編曲、演奏、デザイン、動画制作等すべてを自身でこなすマルチクリエイター。自身のYouTubeチャンネルは総再生数5億回、月間PV数2000万回、MV平均視聴回数は1本あたり約200万回、チャンネル登録者211万人を越え 今もなお記録を伸ばし続けている。
シンガーソングライター杏沙子をゲストボーカルに迎えたオリジナル楽曲『あなたのことが好きだなんて言えないんです。』は、MV公開わずか1カ月で100万PVを突破し現在は600万再生を超える。
さらに2018年8月、未来(ザ・フーパーズ)とリリースした配信限定EP「MIRAI COVERS」は、iTunesアルバムランキング J-Pop1位、総合2位、週間アルバムチャート8位を獲得!!
現在、2nd original album「Clumsy」、2nd cover album「これくしょん2」絶賛発売中。
その圧倒的音域の歌声と類い稀なプロデュース力で、YouTube、メジャーアーティストへの楽曲提供など精力的に活動中。

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